逮捕

刑事訴訟法ノート

被疑者の身体保全

  • 逮捕と勾留

裁判官が発付した令状に基づいて

捜査機関が行います。

その意味で、逮捕は許可状です。

裁判官から逮捕状を得ていても

逮捕しなくてOK

ということ。

これに対して勾留は

勾留状を発して裁判官がみずから行う処分です。

その意味では

勾留状は命令状です。

ここでは

逮捕のことを

分かりやすく説明します!

  • 逮捕

被疑者に対して最初に行われる

強制的な身体拘束処分です。

法的に決められた

短時間の留置という効果

を伴います。

被疑者には、犯罪の嫌疑がある以上

被疑者から弁解等を求めるべき理由があり

また

逃亡や証拠隠滅を防止して捜査を進める必要もある

ことから認められた強制処分です。

逮捕には3種類あり、それは

通常逮捕

現行犯逮捕(準現行犯逮捕)

緊急逮捕

です。

次は、それぞれについて述べます。

  • 通常逮捕

令状による逮捕のことであり

検察官、司法警察員

が裁判官に逮捕状を請求します。

逮捕状を請求する場合の司法警察員とは

警察官の場合は警部以上の者

を指します。

しかし、実際に逮捕するのは

検察官、検察事務官

司法警察職員

の誰が行っても良いです。

裁判官は

逮捕の理由と必要性があるか

を判断し

特に否定すべき事情がなければ逮捕状を発付

します。

憲法第33条

何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となってゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。

刑訴法第199条(逮捕状による逮捕)

1項 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。ただし、30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まった住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。

2項 裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。以下本条において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。但し、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。

3項 検察官又は司法警察員は、第1項の逮捕状を請求する場合において、同一の犯罪事実についてその被疑者に対し前に逮捕状の請求又はその発付があったときは、その旨を裁判所に通知しなければならない。

  • 通常逮捕の要件

①相当な理由(刑訴法第199条2項)

 罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由

②必要性

 逃亡または罪証隠滅のおそれ等(規則143条の3)

 微罪の場合は住居不定又は正当な理由なく出頭要請に応じない場合に限る(刑訴法199条1項ただし書き)

↓超重要

赤字で示したところが

逮捕の必要性

です

刑事訴訟規則第143条の3(明らかに逮捕の必要がない場合)

 逮捕状の請求を受けた裁判官は、逮捕の理由があると認める場合においても、被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情に照らし、被疑者が逃亡する虞がなく、かつ、罪証を隠滅する虞がない等明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、逮捕状の請求を却下しなければならない。

赤字で示した点が問題ないなら

逮捕の必要はない

つまり

逮捕されない

ということですね!

ちなみに・・・

取調べ目的の逮捕は許されない

というのが現行法の考え方です。

  • 現行犯逮捕

現行犯人とは

現に罪を行い

または現に罪を行い終わった者

をいいます(刑訴法第212条1項)

また、刑訴法第213条には

現行犯人は

何人も令状なくして

逮捕できる

と規定されています。

つまり

現行犯人なら

誰でも逮捕できる

ということです。

私(筆者)でも、あなたでも

スーパーの店長も(例、万引き犯を)

逮捕できる!

ということです。

犯罪の実行が明白であり

犯人誤認の危険性は少なく

(犯罪および犯人の明白性)

緊急性があること

(犯罪の現行性、時間的接着性の明白性)

から

令状主義の例外

とされているからです。

刑訴法第212条(現行犯人・準現行犯人)

1項 現に罪を行い、又は現に罪を行い終った者を現行犯人とする。

2項 左の各号の一にあたる者が、罪を行い終ってから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。

 1号 犯人として追呼されているとき。

 2号 贓物ぞうぶつ又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。

 3号 身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。

 4号 誰何すいかされて逃走しようとするとき。

刑訴法第213条(現行犯逮捕)

現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

罪を行い終わってから間がない者は現行犯人ではありません。

しかし

刑訴法第212条2項に該当する者

であれば

現行犯に準じるもの

として

無令状で逮捕

することができる。

これが(刑訴法第212条)

準現行犯逮捕

です。

つまり

 犯人として追呼されているとき。

 例)人に「ドロボー、誰か捕まえてー」と追いかけられ逃げている人

 贓物ぞうぶつ又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。

 例)たった今、盗まれた物件を持っている人

 身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。

 例)ナイフで刺された被害者の血液が身体に付着する人

 誰何すいかされて逃走しようとするとき。

 例)警察官に遭遇して逃げ出す人

という事項のうちの

一つに該当する者が

罪を行い終ってから間がない

と明らかに認められるときは

準現行犯逮捕ができる

ということです。

  • 緊急逮捕

一定の重大犯罪

高度の嫌疑

があり

緊急性が認められる場合に

これらの理由を告げて

無令状で逮捕すること

をいいます。

刑訴法第210条に規定

されています。

  • 緊急逮捕の要件

①死刑または無期もしくは長期3年以上の懲役もしくは禁錮に該当する重大事件

②犯罪の嫌疑が『充分』であること

←通常逮捕の『相当』では足りない(もっと高度な嫌疑が必要)

③急速を要し裁判官の逮捕状を求めている理由がない場合であること

④その理由を告げて被疑者を逮捕し、その後『直ちに』逮捕状請求手続をすること

死刑または無期もしくは長期3年以上の懲役もしくは禁錮に該当する重大事件?

殺人罪(死刑または無期もしくは5年以上の懲役)

放火罪(現住建造物等放火なら…死刑または無期もしくは5年以上の懲役)

強制わいせつ罪(6ヶ月以上10年以下の懲役)

強制性交等罪(5年以上の有期懲役)

傷害罪(15年以下の懲役または50万円以下の罰金)

窃盗罪(10年以下の懲役または50万円以下の罰金)

強盗罪(5年以上の有期懲役)

詐欺罪(10年以下の懲役)

などがあります。

未遂規定がある罪名では

未遂でも逮捕できます。

まとめ

今回は逮捕をまとめました!

個人的に今回の件で重要だと思うのは

刑事訴訟規則第143条の3

に該当しなければ

逮捕の理由があっても逮捕されない

という点じゃないかなと思いました。

一般的な感覚では逮捕しそうな罪でも

刑事訴訟規則第143条の3に該当しない

と捜査機関(現行犯逮捕、緊急逮捕)

や裁判所(通常逮捕)

が判断すれば

逮捕されない

ということですね。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!


コメント

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