起訴される見込みのドンファンの元妻

ドン・ファン殺人

はじめに

 2021年4月、和歌山県警が紀州のドン・ファンと呼ばれた野崎幸助さんの殺人事件の犯人として元妻の須藤早貴容疑者を逮捕しました。

 そして、本日、その元妻について明日、起訴される見込みというニュースがありました。

 和歌山県警は、元妻が犯人であるという情況証拠を積み重ねて逮捕にこぎつけました。

 情況証拠は、積み重ねれば有罪に持ち込む力があります。

 和歌山県警が3年かけて積み重ねた証拠です。

 やるだけのことをやり切っての証明に違いありません。

 今回は、和歌山県警が集めた情況証拠について改めて説明します。

紀州のドン・ファン殺人事件をどう証明したのか
2021年4月、和歌山県警が紀州ドン・ファン殺人事件の犯人として元妻を逮捕しました。逮捕に3年かかりました。その間、和歌山県警は元妻が犯人であるという情況証拠を積み重ねました。情況証拠は積み重ねれば有罪に持ち込む力があります。今回は、和歌山県警が逮捕まで持ち込んだ情況証拠について説明します。

事件の内容

 ことは2018年5月に起きました。

 紀州のドン・ファンこと野崎幸助さん(当時77歳)が急性覚醒剤中毒で死亡したことが始まりです。

 そして、警察が元妻の携帯電話などを調べたところ、元妻が携帯で売人らしき人物と接触したり、何度も覚せい剤と検索していた履歴が残されていたことなどが分かり、このほかの情況証拠の積み重ねで元妻は逮捕されました。

元妻は無罪を勝ち取ろうとしている

 情況証拠とは、事件のことを推認させる一定の事実を証明する証拠を意味するものです。

 例えば、殺人事件の場合だと『被告人が被害者を憎んでいたこと』を推認させる脅迫状などが情況証拠に当たります。

 また、過去の裁判で『直接証拠によって事実認定すべき場合と情況証拠によって事実認定をするべき状況とで異ならない』という見解が示されているので、情況証拠だけで有罪判決を出すことができます。

 今回の紀州のドン・ファン殺人事件で、元妻が野崎さんを殺害したという直接的な証拠は見つかっていないとされています。

 直接的な証拠が見つかっていないとは、例えば、元妻が野崎さんに覚せい剤を飲ませている防犯カメラ映像などが存在しないという意味です。

 コンビニやスーパーの店内で行われた犯罪ではないので、そんな映像が存在しないのは当たり前ですよね。

 ですから、警察や検察側は、情況証拠を積み重ねることによって元妻を有罪を勝ち取ろうとしますし、当然、元妻側は、直接的な証拠がないことを軸にして無罪を勝ち取ろうとするのです。

 元妻が逮捕後に容疑を否認し、その後の取り調べで黙秘していることからも、元妻が無罪を狙っているのは明らかです。

 また、元妻に供述を拒否する権利があるので、警察や検察の取り調べで黙秘することに対しての罰はありません。

 この権利については過去のブログがあるのでリンクを貼ります。

被疑者の防御権
逮捕されたとき、自費で雇った弁護士と、国がつけてくれた弁護士との違いについて書きました

集められた情況証拠

1,遺体の状況

 野崎さんの遺体に注射痕はなく、毛髪からも覚醒剤成分は検出されませんでした。

 知人らへの聞き込みを重ねても、野崎さんが覚醒剤を常用していたという話は出ませんでした。

 致死量に至る覚醒剤を注射以外の方法で体内に取り込もうとすると、覚醒剤をあぶって気体で体内に取り込むより口から大量に入ったと考えられる可能性が高いということになります。

 また、覚醒剤を使用すると、毛髪に覚醒剤の反応が残るとされています。

 野崎さんの毛髪に覚醒剤の反応が無かったということは、覚醒剤を普段から使う人ではない野崎さんが覚醒剤が原因で死亡した覚醒剤が体内に入った経路は口からのルートである可能性が高いということになります。

 これらの理由が、野崎さんが死亡した理由は他殺であり家族などの近親者が覚醒剤を混入させて殺害したのではないかという証拠なのです。

2,元妻の携帯電話

 警察が元妻への捜査をしたところ、携帯で売人らしき人物と接触したり、何度も覚醒剤と検索していた履歴が残されていたという話しが和歌山県警関係者から出ています。

 つまり、元妻は覚醒剤が原因で野崎さんが亡くなった同じタイミングで覚醒剤のことを調べていたほか覚醒剤を入手できる環境にあったということです。

 これは、一つの情況証拠になります。

3,離婚話

 野崎さんは、周囲に「離婚届を書いた」「あとは早貴(元妻)のサインがあれば離婚できる」などと話しているので、元妻が財産目当てで離婚したくなかったとすれば、元妻には野崎さんを殺害する動機があるということになります。

 情況証拠は、一つ一つはインパクトが小さなものでも、積み重ねることによって大きな力を持ちます。

 これもそう、あれもそう、と証拠を積み重ねて大きな証拠にする手法です。

4,防犯カメラ映像

 和歌山県警によると、野崎さんの死亡推定時刻は平成30年5月24日午後9時ごろです。

 この日、野崎さん宅には家政婦もいたが、夕食の鍋料理を準備して外出しています。

 その後、野崎さんと元妻は2人で夕食をとったとみられらています。

 和歌山県警は死亡推定時刻から逆算し、野崎さんが覚醒剤を飲まされたとみられる時間帯を特定しました。

 そして、防犯カメラの映像では、家の外から侵入した形跡がない一方、当時は家政婦の女性が外出しており、野崎さんと元妻が2人きりだった疑いがあることを突き止めました。

明らかになった情況証拠のまとめ

 ニュースなどで明らかになった情況証拠から言えることは、こうです。

 普段から覚醒剤を使わない野崎さんが覚醒剤の大量に飲むことで死亡したのは、他殺しか考えられない。

 そして、この時間に他殺された野崎さんと一緒に居たのは元妻だけで、元妻は覚醒剤のことを調べてたし、覚醒剤の売人とも会っていた疑いが強い。

 だから、元妻が野崎さんを殺害したとしか考えられない。

 といった具合で積み重ねた証明です。

さいごに

 この後、裁判が進むことで警察や検察が集めた情況証拠が明らかになっていきますし、こういった証拠が元になって、元妻が有罪と判断されるのか、無罪と判断されるのかが決まります。

 ドンファン事件は、岡庭容疑者の事件と違って、起訴されるまでニュースなどで情報が明らかになりませんでしたね。

 今後も注目していきます。

 また、皆様にとって良い情報をまき散らしたいと考えているので、今後とも、よろしくお願いいたします。

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

裁判の流れ
自分や家族、友人などが裁判を受ける立場になってしまったら・・・そう考えると怖いですよね。私も怖かったです。ですが、私は『怖い』と思ってしまう理由の一つに『知らないから』ということがあると常々思っています。ですから、今回は、その『わからない裁判の流れ』を解説することで、少しでも不安が取り除けたらなと考えこの投稿をします。お付き合いお願いします。公判審理を実質的なものにするためには、被告人側において、検察側がどのような証拠を持っていてどのような立証活動をしているのかをあらかじめ知っておくことが望ましいというのが、刑事訴訟法などの考え方です。そこで、証拠開示という手続きがあります。証拠開示とは、当事者が手持ちの証拠について相手にその内容を明らかにすることをいいます。検察側と被告人側がお互いの札を見せ合うというイメージが分かりやすいですかね。これで思いつくのは、被告人の弁護人は、相手(検察官)の手札を見て弁護方針を立てるということが考えられますね。徹底的に争うなら検察官が持っている手札に勝てる証拠を集められるか、あるいは証拠価値を下げる証拠を集められるかが肝になってくるということだと思います。

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