殺人予備罪を証明できなかった理由(岡庭容疑者)

事例ブログ

今回の記事を読んで分かること

 岡庭容疑者は、昨年11月に殺人予備罪で家宅捜索を受けました。

 しかし、逮捕された罪名は火災予防条例違反でした。

 起訴罪名も同じく火災予防条例違反でした。

 今回は、なぜ、警察が殺人予備罪で家宅捜索をしたのに火災予防条例で逮捕したのかなどについて、法律的観点から説明します。

 理由は、岡庭容疑者が殺人する目的で危険物などを保管していたという証拠がなかったからだと思われます。

昨年11月の家宅捜索

 岡庭容疑者は、昨年11月に殺人予備罪で家宅捜索を受け、このときに大量のナイフ、大量の薬品、猛毒植物のトリカブト、トウゴマ、クマ撃退スプレー、サリン生成に関する本などが押収されました。

 そして、岡庭容疑者は、このときに指定数量を超えた粉末の硫黄を貯蔵していました。

 その量は約45キログラムでした。

 一般的な感覚からすれば、テロでも起こすつもりだったんだろこんなの人を殺すつもりだった以外になにがあるのかと、当然、思う方がいることです。

殺人予備罪の構成要件

 そこで殺人予備罪について書きます。

 殺人予備罪は、殺人をする目的で凶器などを準備することなどで成立する犯罪です。

 つまり、殺人する目的で準備していたといえる証明をしなければなりません。

 そのためには、僕は殺人するつもりでしたという供述や、殺人をする計画書などがなければ、証明することは難しい犯罪です。

 そして、報道によると、岡庭容疑者は、自宅に硫黄を約45キロを保管していたことについては認めていると書かれています。

 つまり、岡庭容疑者は殺人事件を起こすつもりがあったとは話していないということです。

 ですから、警察官や検察官は殺人予備罪を証明することができず、硫黄を大量に貯蔵していたという火災予防条例違反で逮捕や起訴をすることしかできなかったと推察されます。

茨城一家殺人事件での影響

 もし、殺人事件で検察官が起訴したときについて考えます。

 このまま岡庭容疑者が否認し続けたと仮定します。

 すると、岡庭容疑者が自宅で大量のナイフ、大量の薬品、猛毒植物のトリカブト、トウゴマ、クマ撃退スプレー、サリン生成に関する本などを保管していたということを裁判官がどのように捉えるかということです。

 以前、別のブログで書きましたが、刑訴法に『証拠の証明力は、裁判官の自由な判断に委ねる』と規定されているので、証拠の価値は裁判官の自由な判断に任せられることになります。

証拠が大事な理由
刑訴法318条には『証拠の証明力は、裁判官の自由な判断に委ねる』と規定され、自由心証主義を採ることを明らかにしています。自由心証主義とは、証拠の証明力の有無を法律で定めることをせず、もっぱら裁判官の自由な判断に任せる建前をいいます。『任せる建前』とか、なんか丸投げしたみたいな、ヤバそうな表現に聞こえるので、その意味を書きます。

 もし、本当に岡庭容疑者が殺人事件の犯人だったとして、岡庭容疑者が否認している以上、警察や検察は動機を何らかの方法で証明したいはずです。

 動機が解明できれば、それが情況証拠になるからです。

情況証拠だけで有罪になるのか
近年、情況証拠を積み重ねて逮捕などをした事件が目立っています。しかし、情況証拠は最近になってできた新しい制度ではありません。少しでも世間の法律に関するリテラシーを上げていきたいという一心で、今回は情況証拠について書きます。結論から言うと、情況証拠だけで裁判で有罪にすることが可能です。今回は判例などをもとにしてこれを説明します。

 情況証拠を積み重ねて有罪判決を出すことが良いこと悪いことという理論は実際に判例で説示されていることから論外として、裁判官は情況証拠を積み重ねることで有罪判決を出すことができます。

 大量のナイフ、大量の薬品、猛毒植物のトリカブト、トウゴマ、クマ撃退スプレー、サリン生成に関する本などを保管していたということが今後どのように影響してくるかは、これまでと今後の進展次第ということです。

さいごに

 今回は、昨年11月に警察が殺人予備罪で家宅捜索したのに火災予防条例で逮捕したことなどについて説明しました。

 私は、法律の知識があるからこそ、自分の知識や見方を発信していくことが、世間の法律に関するリテラシーを上げることに繋がると信じています。

 これからも新しい情報が発信されれば、その情報から何が言えるのかを改めて自分の意見を発信していきたいと考えています。

 また、私は、警察の捜査に興味があったので、元警察官が描いたというマンガを読んでみました。

 ハコヅメというマンガでした。

 捜査の流れが分かるという点では、元警察官だから描けるんだろうな、っていう感じが伝わってきます。

 私が得意な刑事訴訟法などの法律的観点からも間違っていない流れで描かれています。

 今回の事件など、現実で起こる事件でもマンガに描かれているような葛藤やジレンマ、法律と常識とのギャップで苦しんでいるんだろうなという描写があり、とてもリアルなマンガです。

 警察官の考え方が描かれていて、いろいろな視点を養う意味でもとても便利なマンガだと思ったので、とてもオススメなので、ぜひ読んでみてくだい!
 ↓リンク。。


 

コメント

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