正当防衛~私の方が悪いの?~

トラブル解決法

なぜ、これについて書くのか

 正当防衛。

 よく聞きませんか。

 今の時代、ドラマなどの影響もあってか小学生でも知っている言葉になりました。

 小学生でも知っているということは、広く世間でも認識されている言葉だということで間違いないと思います。

 しかし、みなさんは本当の意味の正当防衛を知っていますか。

 職場や学校でケンカがあったとき、相手だけでなく自分も暴力を振るっていたら「あれは正当防衛だ」などと言いたくなる場面は簡単に想像がつきます。

 しかし、正当防衛は法律で決められた基準をクリアしなければ成立しません。

 「正当防衛だ」という言葉が、ただの言い訳になってしまう可能性があるのです。

 そこで、今回は、広く世間でも認識された『正当防衛』について、認識違いから暴力事件の犯人になってしまわないよう、分かりやすく説明します。

 それでは、よろしくお願いいたします。

正当防衛って?

 正当防衛は、刑法第36条1項に規定されています。

 条文は急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。となっています。

 そして、刑法第36条2項に防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。と書かれているので、刑法第36条2項の意味合いは『防衛の度が過ぎていたらダメです。度が過ぎた理由によっては刑を軽くしますが、罰を受ける可能性があります』ということなります。

 刑法第36条2項の意味合いはそれなりに理解できると思いますが、問題になるのは、刑法第36条1項です。

 刑法第36条1項の『急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。』って分かりにくくないですか。

 例を挙げると、相手に包丁で刺されそうになったので、これを避けるためにやむを得ず殴ったという場面です。

 これは、よっぽどの場面です。

 一生のうち、1回あるか無いかという場面です。

 正当防衛は、こういう場面を想定して作られた法律です。

 なので、正当防衛は「相手に殴られたから殴り返した。はい、正当防衛でしょ」といった具合に簡単には成立しないのです。

 相手に殴られたから殴り返したという状況では、お互いが暴行罪や傷害罪などに該当する行為になってしまう可能性があります。

 そんなことは、とても得策とはいえません。

 殴ってくるような相手と同じ土俵に立つ必要なんてないからです。

 そこで、刑法第36条1項に規定された『急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。』について、分かりやすく説明します。

 しかし、これから説明することをすべて覚える必要はありません。

 感覚で理解していただければ結構です。

 願わくば、正当防衛が成立するような場面に発展する前に、その場から離れてください。

 ただ、正当防衛を感覚だけでも理解することで、もし、トラブルに巻き込まれたときに自分を守る手立てになってくれると、私は信じています。

正当防衛の要件

 要件とは、これをクリアすると正当防衛が成立しますという条件のことす。

 刑法第36条1項

 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。

急迫

 例えば、殴られている状態や、殴られそうになっている状態のことをいいます。

 つまり、殴られた後(終了後)に反撃した場合は成立しないのです。

 また、将来の攻撃を見越して先制攻撃しても正当防衛は成立しません。

 攻撃されると思ったら、その場を離れてください。

 相手の攻撃を利用して、積極的に暴力を加えた場合も正当防衛が成立しないのです。

 なので、お互いが殴り合うようなケンカ状態になってしまったら、正当防衛が成立しない可能性が高まるばかりなのです。

不正

 不正とは、違法なことをいいます。

 例えば、相手がいきなり包丁で刺しにきたという状況です。

 別ブログで説明した、責任能力が無い人からの攻撃でも正当防衛の対象になります。

スーパー分かりやすい『責任能力』
酷い方法で人を殺害した殺人事件があったときなどに捕まった犯人について責任能力があるのかというのがよく問題になります。そして、連日のようにネットやテレビで捕まった犯人の異常な精神について討論することが多くの場合だと思います。結論をいうと、裁判で責任能力が無い(心神喪失)と判断されれば、犯人は無罪になります。また、心神耗弱と判断されれば刑は軽減されます。そこで、今回は、責任能力について分かりやすくまとめました。このブログを読んでいただければ、どういう状況であれば無罪になるのか、また、刑が軽減されるのかについて分かります。物事の是非弁別を弁識する能力とは、自分が行おうとしている行動の是非を判断する能力のことをいいます。つまり、これから自分が行おうとしている万引きが良いことか悪いことかが分かる能力が有るか無いかということです。その弁識に従って行動する能力とは、是非の判断に従って行動をコントロールする能力のことをいいます。つまり、万引きが悪いことだと分かっていても、行動をコントロールできない状況であれば、無罪か刑が軽くなるということです。

侵害

 実害が起きたり、その危険を生じさせる行為をいいます。

 なので、故意でも過失でも該当します。

 故意とは『わざと』やること。

 過失は『不注意で、しでかす過ち』です。うっかりってやつ。

 しかし、相手を挑発して相手の攻撃を招いた場合は正当防衛とはならない可能性が高いです。

 よくある「おい、殴ってみろー」というやつです。

 相手に「殴ってみろー」と言ったら殴りかかってきたので殴りましたは成立しません。

 ただ、過失により挑発してしまった場合は正当防衛が成立する余地があるという解釈があります。

自己又は他人の権利を防衛するため

 自分の身体や権利を守るためという意味です。

 防衛する意思が必要です。

 相手の攻撃に憤激(激おこ、怒り爆発)や逆上(カッと頭に血が上ること)して反撃しても、防衛の意思は否定されるものではありません。

 人間ですもの、反射的に腹立ちますもんね。

やむを得ずにした行為(刑法第36条2項)

 防衛手段として相当である必要があります。

 やり過ぎると『過剰防衛』となってしまいます。

 過剰防衛となると、最初に説明した刑法第36条2項の規定により、任意的に減軽や免除となり得るという状況になるので、正当防衛が成立しないのです。

 つまり、他にとるべき方法がないということまで必要ありませんが、簡単にその場から逃げられるのに相手を殺傷する場合は正当防衛が成立しないのです。

ケンカと正当防衛の違い

 双方が攻撃を繰り返す状態になった場合は、ただのケンカです。

 正当防衛といえる状況にするためには、殴られそうになった初期段階での対処が重要になります。

 殴られそうになったときに防衛し、その場を離れて110番通報が大切ということです。

 いきなり殴ってくるような人と、同じ土俵に立ってはいけません。

 あなたが犯罪者になってはいけないからです。

おわりに

 今回は、正当防衛について説明しました。

 広く世間でも認識された『正当防衛』ですが、法律で決められたことなので、基準を超えなければ正当防衛は成立しません。

 法律と常識とのギャップという認識違いから、あなたや身近な人が犯人になってしまわないよう、理解しておくことは必要だと思います。

 また、正当防衛など、言葉だけが独り歩きしてしまったようなことが、あなたや身近な人を不幸にさせてしまうかもしれません。

 今回のブログが法律と常識とのギャップを少しでも埋め、皆様の心配や悩みを解決する一助になれば、本当にうれしいです。

 また、皆様にとって良い情報をまき散らしたいと考えているので、今後とも、よろしくお願いいたします。


 

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