故意が無いと犯罪不成立になるかも

刑事訴訟法ノート

故意

 法律上、故意は『他人の権利や法益を侵害する結果を発生させることを認識しながら、それを容認して行為すること』をいいます。

 つまり、他人の傘だと分かっていながら、その傘を盗む行為で、これは窃盗罪です。

 自分の傘だと勘違いして他人の傘を持って帰ってきた場合は、窃盗罪が成立しません。

 わざとではないからです。

 裁判などでは、しばしば故意が問題になります。

 よくドラマなどでもありますが「私は殺すつもりはなかった」というシーンです。

 『人を殺そうとしていた』という故意を否定しているのです。

 人を殺したという結果が同じでも、適用される罪によって刑期などは大きく変わります。

 人を殺すつもりで殺害した場合の刑罰は『死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する』とあります。

 しかし、殺すつもりなく殴ったら打ちどころが悪くて死亡してしまった場合の刑罰は『3年以上の有期懲役に処する』とあります。

 相手から「殺してくれ」と頼まれたので殺害した場合の刑罰は『6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する』とあります。

 また、ただの過失で人を死亡させてしまった場合の刑罰は『50万円以下の罰金に処する』とあるので、適用される罪名によって刑罰が大きく左右されることは明らかです。

 ですから、よく、裁判では『故意』などが争点になります。

 殺人と傷害致死でも刑罰に大きな差があるので、裁判でここが問題にならないはずがないのです。

 テレビやネットニュースなどの報道で、腹が立つような判決を見聞きすることが多いと思います。

 そして、こうやって腹が立つ判決を見聞きすることは、これからも続きます。

 「裁判官がこんな判決を出すなら、私も同じことやってやろうか」と思うことがあると思います。

 ですから、今回は、法律で定められている故意について説明します。

結論

 結論から言うと、故意は腹の中のことなので、証明することが難しい要素の一つです。

 証明が難しいからこそ、裁判で争点となるのです。

 証明が簡単であれば裁判で争いませんし、裁判官が悩むこともないと思います。

 被害者をナイフで何か所も刺して失血死させたのに、被告人が「殺すつもりはありませんでした」と証言しても信用性はないと思います。

 しかし、死亡しても構わないと思いながら人を殴り殺した場合でも、「腹が立って殴ったら死んでしまった。殺すつもりはありませんでした」と証言した場合に『相手を殺そうとした』という故意をどう証明するのかが問題となる可能性があるのです。

 恐喝事件などのニュースなどで見る「脅すつもりはなかった」などというフレーズもそうです。

 「自分は脅すつもりはなかったんですが、相手が勝手にお金を持ってきたんです」という証言が、嘘か本当かを判断する材料が必要となるのです。

故意の種類

 故意には『やってやろう』と思いながら行うことと、『発生しても良い』と思いながら行うものとで、大きく分けて2種類あります。

 『発生しても良い』と思いながら行う犯罪について説明します。

 1つ目は、『包括的故意』といいます。

 例えば、歩行者天国の道路に猛スピードで突っ込む場合です。

 歩行者天国の中にいる何人かを死亡させようとするやつです。

 2つ目は、『択一的故意』といいます。

 例えば、誰が食べるかは分からないが、町内会で作ったカレーの中に毒を混入させて殺害しようというやつです。

 誰が食べて何人死亡するか分からないが、誰かが死亡するのは確かという状態です。

 3つ目が、よくマンガなどでも目にする『未必の故意』です。

 私がこれから行うことで人が死亡するかもしれないが、死亡しても構わないという状態です。

故意が重要な理由

 日本の刑法では、原則として、故意がある場合のみ犯罪として成立するという『故意犯処罰の原則』を採用しています。

 ですから、わざとじゃなかったら基本的には罰せられません!

 故意がなくても犯罪が成立する場合は、過失犯の規定がある場合にのみなのです。

 だから、故意が重要なのです。

 また、故意で罪名が変わってしまう、つまり刑罰が重くも軽くもなるので裁判で争点となりやすいのです。

さいごに

 故意が重要な理由が分かっていただけましたか。

 今回のブログが、皆様の悩みなどを解決する一助になれば、本当にうれしいです。

 また、皆様にとって良い情報をまき散らしたいと考えているので、今後とも、よろしくお願いいたします。

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


 

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