岡庭容疑者は無罪になるのか

事例ブログ

はじめに

 岡庭容疑者のことです。

 岡庭容疑者は、未成年のときに通り魔事件を起こしています。

 そのときの裁判で「当初は殺害し、首を持ち帰ろうと思った」「女性を襲うのに性的興奮を感じていた」など常軌を逸したような証言をしていました。

 また、このときの裁判で、岡庭容疑者には『広汎性発達障害』があることが明らかとなっています。

 もし、岡庭容疑者が今回の殺人事件の犯人だったとして、裁判になったとき、裁判で無罪判決が出る可能性はあるのでしょうか。

 本当の犯人だった場合、責任能力が問題で無罪判決が出ると、有罪判決が出た場合より早く世の中に戻ってくることになります。

 現実的に考えて、とても不安なことだと思います。

 私見ですが、現時点では、責任能力が問題になって無罪判決が出る可能性は低いのではないかと思っています。

 今回は、岡庭容疑者に無罪判決が出る可能性になどついて説明します。

 それでは、よろしくお願いします。

茨城一家殺人事件

 今回の殺人事件は、小林さんの家に侵入した犯人が、小林さんご夫婦をナイフで十数か所も刺したという、酷い方法で人を殺害した殺人事件です。

 もし、岡庭容疑者が犯人だった場合、過去の裁判で、岡庭容疑者には『広汎性発達障害』があることが明らかになっている点などを踏まえると、仮に裁判で「私が犯人です」と証言したとしても、精神状態が悪かったことなどを原因として責任能力があるのかということが問題になると思われます。

 精神状態が悪かったので、ナイフで十数か所も刺す殺害方法をしてしまった。

 悪くなければ、このような殺害方法はとらなかった。

 などと証言することも可能だからです。

無罪判決が出る場合

 無罪判決が出る場合について説明します。

 無罪判決は、裁判で責任能力が無い(心神喪失)と判断された場合に出ます。

 また、心神耗弱と判断されれた場合刑は軽減されます。

 責任能力が有るか無いかは、是非弁別を弁識する能力その弁識に従って行動する能力が有るか無いかで判断されます。

 そして、是非弁別を弁識する能力その弁識に従って行動する能力どちらか一つでも能力を欠けば心神喪失どちらか一つでも能力が著しく減退していれば心神耗弱と判断されることになります。

 物事の是非弁別を弁識する能力とは、自分が行おうとしている行動の是非を判断する能力のことをいいます。

 たとえば、これから自分が行おうとしている万引きが良いことか悪いことかが分かる能力が有るか無いかということです。

 その弁識に従って行動する能力とは、是非の判断に従って行動をコントロールする能力のことをいいます。

 たとえば、万引きが悪いことだと分かっていても、行動をコントロールできない状況であれば、無罪か刑が軽くなるということです。

 これらは犯行時を基準としているので、犯行時に責任能力が有るか無いかが争点になります。

 逆説的になりますが、是非弁別を弁識する能力と、その弁識に従って行動する能力が完全にあれば、責任能力が有るということです。

何を基準で無罪判決が出るのか

 どういったもので心神喪失や心神耗弱を判断していくのかを説明します。

1,動機は明らかか

 動機について「訳がわからない」となれば、責任能力が無いと判断される可能性が高くなります。

2,計画的か

 犯行が計画的であれば責任能力があると判断される可能性が高くなります。

3,違法性の認識があるか

 自分がやったことは悪いことだと分かっている場合は、責任能力があると判断される可能性が高くなります。

4,自分の精神状態を理解していたか

5,無罪になったり、刑が軽くなる可能性を分かっていたか

6,証拠隠滅をしたか

 証拠隠滅をしていた場合は、責任能力があると判断される可能性が高くなります。

今回の件ではどうなのか

 令和3年5月16日時点での、今回の事件で集められた情況証拠を挙げます。

1,小林さんの次女が犯人から襲われた際に『熊除けスプレー』が使われており、同様の商品を岡庭容疑者がネットで購入していたことが判明したこと。

 これ自体が『岡庭容疑者が犯人だ』と言い切る材料にはなりません。

 しかし、このほかにも集められた証拠たちと合わせることで、『岡庭容疑者が犯人だ』といえる材料になってくるプラスな証明です。

 もし、裁判で『この購入が事件で使われたスプレーだ』と判断された場合は、事前準備をしていたことになります。

 つまり、計画性があると疑われるので、責任能力が認められる方向に働く可能性があります。

2,岡庭容疑者が、事件前にインターネットで小林さん方付近の情報を検索していたこと。

 岡庭容疑者のパソコンなどを調べたところ、事件現場となった住宅付近の情報をネットで検索した履歴が残っていたほか、事件と別の日に撮影したとみられる現場付近の画像もスマートフォンから見つかったということです。

 ポイントは事件前に検索していたことです。

 事前に行っていたということは、計画性があると疑われるので、こちらも、責任能力が認められる方向に働く可能性があります。

3,犯行後に周辺の不審者情報を検索していたこと。

 岡庭容疑者が住んでいる場所と小林さんが住んでいる場所は遠く離れています。

 なぜ、そんな遠く離れた場所の不審者情報を検索する必要があったのでしょうか。

 この検索単体ではインパクトがある証明ではありません。

 しかし、積み重ねていくことで岡庭容疑者が犯人であると推認させる証拠になる可能性はあります。

 岡庭容疑者が犯人だったとして、不審者情報を検索していたということは、自分がやったことは悪いことだと分かっていた可能性が高く認められます。

 つまりは、責任能力があると判断される可能性が高くなります。

4,事件前にスマートフォンで小林さん方の現場周辺の地図などの状況を検索していたこと。

 これも3番と同じ理由です。

 岡庭容疑者が住んでいる場所と小林さんが住んでいる場所は遠く離れているのに、なぜ検索する必要があったのでしょうか。

 事前に行っていたということは、計画性があると疑われるので、こちらも、責任能力が認められる方向に働く可能性があります。

5,小林さん方を事件前に撮影した動画があること。

 事件が報道される前に事件についてネット検索ができるのは事件について知っている者だけです。

 これは、岡庭容疑者が犯人であることを証明する情況証拠の一つになり得ます。

 事件があったことを知っていなければ検索ができないからです。

 こちらも、事前に行っていたということは、計画性があると疑われるので、こちらも、責任能力が認められる方向に働く可能性があります。

6,マイナス点

 岡庭容疑者が事件について話さないこと。

 話さないので、動機が分かりません。

現時点で言えること

 現時点で裁判は行われていません。

 ですから、今は、ニュースで明らかになっていることで判断することしかできません。

 岡庭容疑者が犯人だったという仮定の上で話します。

 もし、これまでのように警察や検察が情況証拠を積み重ねたとしたら、どんどん、岡庭容疑者が事件を起こしたときの責任能力が証明されることになるでしょう。

 もし、岡庭容疑者が犯人ではなかった場合、責任能力を証明する証拠もどんどん乏しくなっていくと思うので、岡庭容疑者が犯人であることを証明していくことが、岡庭容疑者の責任能力を証明していくことに繋がっていくと思うのです。

 ですから、私は、今回の件が裁判になったとして、岡庭容疑者に有罪判決が出る可能性が高いと考えているのです。

さいごに

 今回は、茨城一家殺人事件が裁判になったとして、岡庭容疑者が犯人だった場合に、有罪になるのか、無罪になるのかについて、その可能性を説明しました。

 裁判で責任能力が無い(心神喪失)と判断されれば、犯人は無罪になり、心神耗弱と判断されれば刑は軽減されます。

 この後の動向には引き続き注目する必要があると考えています。

 今回のブログが『裁判でどういう判断がされるんだろう』という皆様の心配や悩みを解決する一助になれば、本当にうれしいです。

 また、皆様にとって良い情報をまき散らしたいと考えているので、今後とも、よろしくお願いいたします。

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

 責任能力についてまとめた私の別ブログがあるので、ぜひ、ご一読ください。

 よろしくお願いいたします。

スーパー分かりやすい『責任能力』
酷い方法で人を殺害した殺人事件があったときなどに捕まった犯人について責任能力があるのかというのがよく問題になります。そして、連日のようにネットやテレビで捕まった犯人の異常な精神について討論することが多くの場合だと思います。結論をいうと、裁判で責任能力が無い(心神喪失)と判断されれば、犯人は無罪になります。また、心神耗弱と判断されれば刑は軽減されます。そこで、今回は、責任能力について分かりやすくまとめました。このブログを読んでいただければ、どういう状況であれば無罪になるのか、また、刑が軽減されるのかについて分かります。物事の是非弁別を弁識する能力とは、自分が行おうとしている行動の是非を判断する能力のことをいいます。つまり、これから自分が行おうとしている万引きが良いことか悪いことかが分かる能力が有るか無いかということです。その弁識に従って行動する能力とは、是非の判断に従って行動をコントロールする能力のことをいいます。つまり、万引きが悪いことだと分かっていても、行動をコントロールできない状況であれば、無罪か刑が軽くなるということです。

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