なぜ林真須美死刑囚の再審が決まったのか

事例ブログ

紀州のドンファン事件から、

さかのぼること約20年の

1998年7月のこと。

夏祭りに参加した住民らが

急性ヒ素中毒となり、

4人が死亡、63人が重軽症を負った

毒物カレー事件が和歌山市で起きました。

この事件で逮捕され、

裁判で死刑判決が確定していた

林真須美死刑囚が、

和歌山地裁に再審請求をしていたのですが、

今年5月31日付で受理されました。

再審申立書によると

『ヒ素による死亡とするには合理的な疑いがある』

などと訴えています。

再審は、刑事訴訟法第435条に

『再審請求の理由』

として定められています。

要件を満たせば再審が開かれます。

今回の件では

『有罪判決を受けた者の利益となる、

新たな証拠が発見されたとき』

という要件に該当するもの

と思われます。

今回の記事では、

どの要件が満たされて

再審請求が受理されたのか

について説明します。

再審

再審は、

刑事訴訟法第435条に定められています。

ここには

『再審の請求は、左の場合において、

有罪の言渡をした確定判決に対して、

その言渡を受けた者の利益のために、

これをすることができる』

と書かれています。

つまり、

有罪判決を受けた人が利用できる救済制度

ということです。

この制度を使うことができる要件について、

刑事訴訟法第435条には、

下のように書かれています。

1,原判決の証拠となった証拠書類又は証拠物が確定判決により偽造又は変造であったことが証明されたとき。

2,原判決の証拠となった証言、鑑定、通訳又は翻訳が確定判決により虚偽であったことが証明されたとき。

3,有罪の言渡を受けた者を誣告した罪が確定判決により証明されたとき。但し、誣告ぶこくにより有罪の言渡を受けたときに限る。

4,原判決の証拠となった裁判が確定裁判により変更されたとき。

5,特許権、実用新案権、意匠権又は商標権を害した罪により有罪の言渡をした事件について、その権利の無効の審決が確定したとき、又は無効の判決があったとき。

6,有罪の言渡を受けた者に対して無罪若しくは免訴を言い渡し、刑の言渡を受けた者に対して刑の免除を言い渡し、又は原判決において認めた罪より軽い罪を認めるべき明らかな証拠をあらたに発見したとき。

7,原判決に関与した裁判官、原判決の証拠となった証拠書類の作成に関与した裁判官又は原判決の証拠となった書面を作成し若しくは供述をした検察官、検察事務官若しくは司法警察職員が被告事件について職務に関する罪を犯したことが確定判決により証明されたとき。但し、原判決をする前に裁判官、検察官、検察事務官又は司法警察職員に対して公訴の提起があった場合には、原判決をした裁判所がその事実を知らなかったときに限る。

今回の件に当てはめると、

6番目の項目が該当すると裁判所が判断した可能性が高い

と推察されます。

6番目のもの、つまり

『有罪判決を受けた者の利益となる、

新たな証拠が発見されたとき』

に該当するということです。

今回の件を担当している弁護士が

「和歌山地裁の判決文に目を通し、

証拠や添付書類を一つ一つ丹念に

調べたところ、

3人の医師の供述調書などから、

3か所において、

第三者の犯行との結論に至りました」

などと説明していることからいえます。

有罪判決を受けた林死刑囚の有利となる

新たな証拠が発見されたという主張

であることが、

ここから分かるのです。

ちなみに、再審申立書にある

『ヒ素による死亡とするには合理的な疑いがある

とは、裁判で有罪判決が出る

一つのハードルを指しています。

このことについては

私の別ブログがあるので、

ぜひ読んでください。

情況証拠だけで有罪になるのか
近年、情況証拠を積み重ねて逮捕などをした事件が目立っています。しかし、情況証拠は最近になってできた新しい制度ではありません。少しでも世間の法律に関するリテラシーを上げていきたいという一心で、今回は情況証拠について書きます。結論から言うと、情況証拠だけで裁判で有罪にすることが可能です。今回は判例などをもとにしてこれを説明します。

さいごに

今回、

林真須美死刑囚の再審請求が受理

されました。

受理された理由は、

刑事訴訟法第435条に定められている

『再審請求の理由』

をクリアしたからです。

また、担当弁護士の話しから、今回は

『有罪判決を受けた者の利益となる、

新たな証拠が発見されたとき』

という問題をクリアしたことが

大きな要因であると推察されます。

これから裁判が開かれることになります。

この事件は、

ドンファン殺人事件で起訴された

須藤早貴被告の事件とも通じるもの

があると言われています。

情況証拠の積み重ねで

逮捕したり起訴したという点

では、たしかに、同じような事件だと思います。

ですから、今回の件については、

今後も裁判の流れに注目していきます。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

これからもよろしくお願いいたします。


コメント

タイトルとURLをコピーしました