【独自視点】11年前の殺人事件被疑者を検察官が起訴するか

事例ブログ

今月、11年前に兵庫県で発生した未解決の殺人事件で、被疑者が逮捕されました。
逮捕された被疑者が、事件当時未成年だったことから、このブログを書いている令和3年8月7日時点で、被疑者に関する情報は公開されていません。
しかし、11年前の未解決事件が、なぜ今、逮捕されたのか。
11年前の証拠で、検察官が起訴ができるのか。
考えるほどに、そんな疑問がでてきました。
今回のブログでは『どうして11年前の事件が今になって逮捕されたのか』『11年前の証拠で検察官が起訴するのか』という疑問に答えます。

✔️本記事のテーマ

【11年前の殺人事件被疑者を検察官が起訴するか】今回、11年前の未解決事件の被疑者が逮捕されましたが、11年も前の事件で集められていた証拠で、言い方は悪いですが『情報提供からたまたま浮上した被疑者』を検察官が起訴するのか。今まで兵庫県警は、『全然違う犯人像の被疑者』を追いかけてきました。そんな捜査状況だった11年前の事件を検察官が起訴するのか。考えるほどに、疑問がでてきました。今回のブログでは『どうして11年前の事件が今になって逮捕されたのか』『11年前の証拠で検察官が起訴するのか』という疑問に答えます。

事件の内容

今回の事件が起きたのは平成22年10月4日の午後10時45分ごろで、逮捕から11年前のことでした。

神戸市北区の住宅街の路上で、当時高校2年生だった堤将太さん(16歳)が、友人の中学3年の女子生徒と話をしていたところ、突然、男にナイフで刺されて殺害されました。

事件現場のすぐ近くの側溝から『刃渡りおよそ10センチのナイフ』が見つかり、刃についた微量の血液から堤さんのDNAが検出されたため、警察はこのナイフが事件で使われた凶器と断定していました。

このナイフについて警察が調べたところ、事件の2週間ほど前に、現場近くのスーパーで同じ種類のナイフが販売されていたことが分かりましたが、大量生産されているナイフだったため、ナイフの購入者は分かっていませんでした。

警察は、事件が起きたときに一緒にいた女子中学生の証言をもとして男の似顔絵を作成して、公開しました。

女子中学生の証言から明らかにされた犯人の特徴は『年齢は20代後半から30代くらいで、身長は1メートル60センチから1メートル70センチくらい、小太りで濃い眉が特徴』というものでしたが、これまで、犯人が逮捕されることはありませんでした。

今回の逮捕

今回、殺人容疑で逮捕された当時17歳の元少年(28歳)は、『周囲に事件への関与をうかがわせる話し』をしていたことから兵庫県警に情報提供され、逮捕に結びつきました。

逮捕された男は、事件当時、今回の事件現場近くに住んでいた可能性がある人物だったということで、殺害された堤将太さんの衣服から当時採取されたDNA型が、殺人容疑で逮捕された元少年(当時17歳)のものと一致していたことも併せて分かっています。

こういう状況から、兵庫県警の警察官が、令和3年8月4日、愛知県豊山町内にある元少年の自宅を訪れて任意同行を求め、愛知県小牧警察署で逮捕したということで、兵庫県警の取り調べで、元少年は事件を認める供述、つまり、堤将太さんを殺害したことを認める供述を始めています。

今後、元少年に弁護士がついて、『黙秘するのか』『否認するのか』『自認を続けるのか』が注目されるところです。

✔️情況証拠など

① 堤将太さんの衣服から当時採取されたDNA型が、殺人容疑で逮捕された元少年(当時17歳)のものと一致していた

② 事件当時、今回の事件現場近くに住んでいた可能性がある人物だった

③ 元少年は、堤将太さんを殺害したことを認める供述をしている

① 堤将太さんの衣服から当時採取されたDNA型が、殺人容疑で逮捕された元少年(当時17歳)のものと一致していた

・現在明らかになっている証拠の中で最大の証拠です。

・発見されていた凶器から犯人の指紋などが検出されていない以上『殺人事件の被害者の服についていたDNAが元少年のものだった』という証拠に、大きなウエイトがかかります。

・しかし、肝心なのは、『どのタイミングで元少年のDNAがついたのか』ということです。

・逮捕は『必要があればできる』ものなので、逮捕までは問題なくできるにせよ、『検察官が起訴するか』という話しになれば別です。

・もし、今後、元少年が事件を否認する供述に転じた場合、警察や検察は『堤さんが殺害されたときに着ていた服を堤さんはいつから着ていたのか』について、高度に証明しなければなりません。

・もし、堤さんが殺害される前に『逮捕された元少年と堤さんが会って話をしていた』となれば、『このとき、堤さんの服に元少年のDNAが着いた可能性が否定できない』とされるからです。

・そうなれば、『疑わしきは被告人の有利に』の精神で、無罪方向に大きく傾きます。

・そんな危ない事件を、高い有罪率を誇る検察官が起訴するでしょうか。

・負ければ有罪率が下がります。

・負けないためには、起訴しなければいいのです。裁判をしなければ負けないのです。

② 事件当時、今回の事件現場近くに住んでいた可能性がある人物だった

・事件当時、今回の事件現場近くに元少年が住んでいたのであれば、犯人である可能性はあります。

・ただ、これがすごく大きな証拠ではありません。

・堤さんが殺害された現場に元少年がいなければ殺人できない。

・そんな当たり前な考え方から出でくる理論です。

・もし、堤さんが殺害されたとき、元少年が海外にいたら、殺人なんて絶対できません。

・元少年が『物理的に堤さんを殺害できた』という話しにすぎません。

③ 元少年は、堤将太さんを殺害したことを認める供述をしている

・これは、非常に大事な項目で、おそらく、逮捕するためには落とすことができない項目でした。

・警察が『被害者の服に元少年のDNAが着いていた』と突っ走って元少年を逮捕したとしても、元少年が「堤さんが殺害される前に会って話をしていた」と説明した場合、誤認逮捕となる可能性がありました。

・11年も前のことを、今さら兵庫県警が証明することは困難です。

・11年前も前の記憶を全信用して有罪にすることを裁判官はしません。

・人間の記憶は、薄れたり、書き換えられていくものだからです。

✔さいごに

今回は、『どうして11年前の事件が今になって逮捕されたのか』『11年前の証拠で検察官が起訴するのか』 について書きました。

『どうして11年前の事件が今になって逮捕されたのか』は、兵庫県警に 「周囲に事件への関与をうかがわせる話しをしている男がいる」などという情報提供があったためです。

兵庫県警が、この男(逮捕された元少年)のことを調べたところ、『堤さんの服についていたDNAと逮捕された元少年のDNAが一致したから』でした。

そして、『11年前の証拠で検察官が起訴するのか』については、元少年の供述が大きく影響します。

どのタイミングで着いたか分からないDNAを全信用した場合、裁判で足をすくわれる可能性があるからです。

今後、元少年が『堤さんとの関係』『堤さんを殺害した動機』などを供述するのであれば、新しい情況証拠が生まれることになります。

そうなれば、検察官が起訴する可能性は、どんどん高くなります。

今後も、この事件に注目して、新しい判明事項などがあれば、どんどん更新していきます。

このほかにも有益な情報を書いているので、これからも、よろしくお願いします。

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